長野刑務所
元受刑者の方より



 2007年に長野刑務所を出所された方より。新法についての情報が大変豊富です。貴重な情報提供感謝致します。(一部編集)

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 去る8月中旬に長野刑務所を仮釈放にて出所いたしました。今般当サイトを知り、私に出来る事があればと体験の一部を投稿させていただく事と致しました。

 まず、私の事を少しお話しますと、刑期は3年でした。だだし、二審まで争い、控訴期間の8ヶ月が一審における未決参入期間の300日に加えて未決参入(法定通算)されたことで、刑の執行開始時には残刑期が1年6月となっておりました。ちなみに逮捕から刑の執行開始までの期間は約1年11月です(未決通算1年6月)。

 さて、新法下における刑務所運営の実際についてお話したいと思います。まず、旧法下と決定的且つ明確に変わったことは、以下の通りです。

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1 手紙の発信が最低月4回(優遇区分により最高月10回まで)認められるようになりました。また、これまでは親族や弁護士(人)のみであった発信の相手が友人であっても可。但し発信にあたっては、その相手を刑務所に登録しなければならず、この申請がやや面倒なため、多少家族以外には発信しづらい雰囲気があります。さらに、友人であっても、犯罪性のある相手、つまり、暴力団員や現に刑事施設に収容者されている者への発信は認められていません。元受刑者への発信は、同じ刑務所に収容されていた者に対しては不許可となります。これについては、旧1級者は随時発信可能であったので、後退ですね。

2 面会についても月2回以上が保証されています。但しこれまた旧1級者は随時面会可でした。上記の回数に関する個人別の具体的な基準は、後述します。

3 書籍の購入、居室における所持量の限度が大幅に緩和されました。具体的には容積70リットル入りのバッグに入る量であれば、数量の制限はありません(私物を含む。総量規制)。旧法下では、居室内所持は3冊、辞書や教材などの学習用図書を含めても10冊以内であったので大幅な改善です。これに伴ない、購入可能冊数も長野刑務所では、月に最大9冊(領置金での購入は月2回、報償金は1回、それぞれ3冊ずつ)となっていました。但し、週刊誌については、これとは別に月極で3種類まで購入することが出来ました。新法には、「収容者が自弁で購入する書籍の閲覧についてはこれを制限してはならない。」と定められていますが、実際は検閲が行われていて性表現の過激なもの、暴力団について詳細で直接的な解説がなされているもの、違法な行為を助長するものなどは新法の規定に拘らず、強制的に領置されます。

4 これは、収容者の権利に係る内容ではありませんが、矯正の強化の観点から、収容者個人に対する矯正教育の大幅増も新法下での大きな変化です。長野刑務所では、各工場に対し交通教育、高齢者教育、被害者教育、薬物教育などに参加する受刑者を指定させ、それらの者に週1回程度、教育を実施しておりました。

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 新法では処遇について、様々な内容が明文化されていますが、法文はともかくとして実際に変化を感じることが出来るのは、このくらいです。

 では、かなりの方が関心を持っていると思われる外出、外泊はどうでしょうか。ハッキリ申し上げて、この規定は画餅です。長野刑務所では、新法施行から一年以上経過して一度たりとも、実施されていません。恐らく矯正局からの通達若しくは指導がない限りは、今後も、実行されることはないでしょう。

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