刑罰の問題



昨今は変化の激しい時代情勢でありますが、日本は、明治の頃にドイツなどから刑法や刑罰の制度を取り入れて以来、ほとんど形を変えずに今までやってきました。

日本の刑務所の姿は、明治の頃と基本的にはそんなに違わないのです。明治に作られた刑務所についての法律は、少し改正しただけで、2006年まで使われました。100年同じ法律だったのです。

しかし、実は世界の先進国では、日々新しい科学を取り入れ、制度をどんどん改革し続けています。日本人の一般常識では、刑罰といえば死刑と懲役位しかありませんが、冷静に考えれば、そもそも、そうでなければならない理由はないのです。

日本が昔に真似したドイツはもうずっと先にいってしまい、日本は今では欧州と比べ30年遅れているというのが、大体の研究者の見方です。

せっかくの機会ですので、代表的な問題を下記にいくつか挙げます。

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個人刑が家族刑に?
受刑者個人を罰するはずが、今の刑罰は受刑者の家族をも罰している。夫が受刑すれば家族全体の収入が途絶え、妻は夫を失い、子は親を失い、祖父母は孫を失う。家族に罪はないのに何故、家族が不利益を受けるのか。最悪の場合、親を失った子が新たな犯罪者となることすらある。

罰=刑務所?
刑務所でしか罪を償えないということはないはず。欧米には社会奉仕命令など、社会の中で罪を償う仕組みがある。

なぜ懲役のみ?
加害者もその境遇・性質は様々である。「懲役」の期間に差をつけ、刑務所に入れ、紙袋を作らせるだけでいいのか?更生の方法にも、個々人に応じた方法があるはず。例えば欧米では、飲酒運転をしたものを刑務所に入れるのではなく、飲酒運転者用のプログラムを受講させたり、感情をコントロールするためのカウンセリングを受講させることがある。

懲役に賃金を
懲役刑の対価が安すぎる受刑者に適正に賃金を与えれば、受刑者の社会復帰や、被害者の賠償にも役立つ。釈放後、金がなく職にも就けずホームレスにならざるを得ない受刑者が大勢いる現実を変えなければ、再犯は防げない。

被害者の権利
刑事制度が加害者と被害者を引き裂く。加害者が逮捕されて以降、被害者が望んでも加害者と会えない。直接謝罪を求め、和解する機会がない。欧米では修復的司法という制度がある。

いわゆる拘禁病
刑務所は、社会とは異質な空間である。受刑者は人に命令されることに慣れ、自発的な会話や行動ができなくなり、強制でしか動けない人間になる。交友関係は遮断され受刑者は社会から孤立する。その結果は出所後の再犯である。刑務所に長く入れることは、社会復帰の妨げ以外の何者でもない。刑罰自体が再犯の原因を作ってしまっている。

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他にも書ききれない位沢山あります。言えることは、受刑者を責め、罰するだけでは、問題の本当の解決はないということです。制度自体が不完全だからです。



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